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再生可能エネルギーとは?種類や住宅導入におけるメリットを紹介
「再生可能エネルギー」というキーワードを、耳にする機会が増えています。
家づくりにおいても、環境への意識が高い方を中心に再生可能エネルギーに関する設備を導入される方が多くなってきました。
ところで、再生可能エネルギーにはどのような種類があるのかご存じでしょうか。
今回は、再生エネルギーの基本的な情報を踏まえながら、住宅にも導入できる設備や導入することで得られるメリットについて説明します。
再生可能エネルギーとは
再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、地熱といった自然の力を活用して作られるエネルギーのことです。
石油や石炭、天然ガスといった化石燃料とは異なり、枯渇することなく繰り返し利用できるエネルギー源であることから「再生可能エネルギー」といわれます。
日本は、他の国と比べて資源がとても少ない国です。
その一方で、エネルギーの多くを石油や天然ガスなど海外から輸入される化石燃料に依存しており、温室効果ガスを大量に排出しています。
こうした状況から脱却するために、国は自然由来で国内でもつくれる再生可能エネルギーに関する取り組みを推進しており、エネルギー自給率の向上や温室効果ガスの削減を目指しています。
再生可能エネルギーの種類
再生可能エネルギーといえば、太陽光発電システムをイメージされる方が多いと思います。
一般家庭に導入できる再生可能エネルギーとしても、太陽光発電システムを設置される方は多くいらっしゃいます。
ただ、ほかにも再生可能エネルギーはたくさんあり、電力会社をはじめ各事業会社が導入を進めています。
一例を挙げると、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電、波力発電、雪氷熱利用、海洋温度差発電、ソーラーアップドラフトタワーなども、再生可能エネルギーです。
資源エネルギー庁の「エネルギー白書」によると、これら再生可能エネルギーの発電量は、全体の発電量の2割弱となっています。
電源別の割合で見ると、水力7.8%、太陽光6.7%、バイオ2.6%、風力0.7%、地熱0.3%です。
水力を除く再生可能エネルギーは、ここ10年で5倍近くにまでシェアを伸ばしていますが、LNG(37.1%)や石炭(31.8%)などと比べれば少ないことがわかります。
参考:資源エネルギー庁「エネルギー白書2021」
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2021/html/2-1-4.html
再生可能エネルギーによる発電のメリット
従来の化石燃料と比べて、再生可能エネルギーにはさまざまなメリットがあります。
主なメリットを、紹介しましょう。
エネルギー資源が枯渇しない
石油資源は、このままのペースで使い続けると30~40年後に枯渇するといわれます。
石炭や天然ガスなども、石油より長くもつといわれるものの、有限ですからいずれは枯渇します。
それに対して、再生可能エネルギーは地球が存在し続ける限り半永久的に存在するものです。
「いずれなくなる」という心配はなく、持続可能なエネルギー資源なのです。
エネルギー資源を調達しやすい
再生可能エネルギーは、日本を含め世界中どこでも調達できます。
石油や天然ガスをタンカーで輸送する必要もありませんし、条件がそろえば日本中どこでも発電所を設置できます。
再生可能エネルギーを使った発電所の設置が進めば、日本のエネルギー自給率は高まるでしょうし、全国各地に分散させることで災害時に供給がストップするといったリスクも抑えられます。
温室効果ガスの排出量を削減できる
石油や石炭といった化石燃料は、燃焼するとCO2をはじめ大量の温室効果ガスを排出します。
その排出量は年々減少傾向にあるとはいえ、日本では年間11億トン以上、世界5位にランクインする量です。
火力発電所も多くの温室効果ガスを排出しますから、これを再生可能エネルギーに置き換えることで排出量の削減に貢献します。
また、火力発電では化石燃料の燃焼後に焼却灰が、原子力では放射性廃棄物が生じますが、再生可能エネルギーであればこうした有害物質が生じず、環境にも優しいのです。
再生可能エネルギーによる発電のデメリット
良いところばかりが注目される再生可能エネルギーですが、メリットもあればデメリットもあります。
再生可能エネルギーのデメリットを見ていきましょう。
発電量が不安定
たとえば太陽光発電の場合、晴れている日は発電量が多くなりますが、雨や雪の日は発電しないこともあります。
風力発電も、風が吹かなければ発電しません。
このように、気象条件によって発電量が変わり安定しないことが、再生可能エネルギーのデメリットの一つです。
発電規模が小さく、コストが高い
火力や原子力などの発電所と比べて発電規模が小さく、効率も良くないため発電コストが高いこともデメリットです。
発電効率を上げるには、設置に適した環境に発電所を設ける必要があります。
その場所を、狭い日本で探すのは難しく、建設コストがかかる点もデメリットといえるでしょう。
太陽光発電システムを導入する住宅が急増中
再生可能エネルギーは、一般住宅でも導入が進んでいます。
とりわけ、10KW未満の住宅用太陽光発電システムは普及率が年々上がっており、2020年の時点で普及率は10%を超えました。
これは、10年前(2010年)の約4倍に当たります。
2011年の東日本大震災が大きな転換点となり、「自分で使うエネルギーは自分で作る」と考える人が増えたことが、太陽光発電システムの普及につながっているのでしょう。
震災後、国は再生可能エネルギーに関するさまざまな補助制度を設け、普及を後押ししました。
そして、普及が進むにつれ価格が下落したことも、さらなる普及につながっていると考えられます。
近年は、世界情勢の変化によりエネルギー価格が高騰しています。
電気代も、2022年から2023年にかけて大きく値上がりし、その状況は今後も続くと予測されています。こうした時代だからこそ、マイホームに太陽光発電システムを導入することは、非常に有効な手段といえるでしょう。
参考:一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)
https://www.jpea.gr.jp/wp-content/uploads/session2_03_jpea_takahashi.pdf
太陽光発電以外で導入できる再生可能エネルギー
一般家庭で導入できる再生可能エネルギーには、太陽光発電システム以外にもいくつかあります。
具体的なシステムをピックアップして紹介します。
太陽熱利用システム
集熱器(温水ヒーターなど)という機器を屋根などに設置して太陽熱のエネルギーで水を温め、給湯や暖房に利用するシステムです。
その歴史は古く、日本では半世紀以上前から普及しています。
太陽光発電システムと比べてエネルギー効率が高く、屋根が小さくても設置できる点が特徴の一つです。
電力への変換はできませんが、最近では、屋根裏の熱気を棟から排出したり夜間の冷たい空気を屋根裏に取り入れたりして、室温をコントロールする空気集熱方式のシステムも普及しています。
地中熱利用システム
空気熱ではなく地中熱を利用して、冷暖房や給湯、融雪などに活用するシステムです。
地中熱は外気温の影響を受けにくいため、温度が常に一定です。
この熱を地中深くから汲み上げ、ヒートポンプで効率よく利用します。
ただ、導入コストが高く普及率はそれほど高くないシステムでもあります。
風力発電システム
一般住宅でも小型の風力発電機を設置し、風力発電システムを構築することは可能です。
風力発電機は屋根ではなく、ベランダなどのスペースにも設置できます。
ただし、家庭用の風力発電システムは発電効率が良くなく、そもそも風がなければ発電しません。
また、ブレード(プロペラのような羽)が回ると大きな音が発生します。
住宅街では、騒音トラブルに発展することも考えられますので、導入する際は慎重に検討する必要があるでしょう。
住宅に再生可能エネルギーを導入するメリット
マイホームに再生可能エネルギーのシステムを導入することで、電気代の削減はもちろん、災害などの非常時にも有効活用できるなど、さまざまなメリットを享受できます。
主なメリットを紹介しましょう。
電気代が抑えられる
太陽光発電システムで発電した余剰電力を、電力会社に売電することで、電気代を抑えられます。
太陽光発電システムの普及に伴い、売電価格は下がり続けていますが、太陽光発電システム自体の価格も下がっているため費用対効果はそれほど変わりません。
いずれにせよ、電気代を抑えることで家計に余裕が生まれることは期待できるでしょう。
節電意識が高まる
「HEMS」といわれるエネルギー管理システムを導入すれば、太陽光発電システムの発電量や、家電などの電力消費量を一目で把握できるようになります。
エネルギーを「見える化」することで節電意識が高まり、さらに電気代を抑えられることが期待されます。
非常用電力として活用できる
太陽光発電システムとあわせて蓄電システムを導入すれば、大きな地震や台風などで地域一帯が停電しても、自宅の電力は確保できます。
停電中でも、テレビなどで情報を入手したり、スマートフォンを充電したりと、非常事でも安心感が得られることもメリットの一つです。
資産価値が上がりやすい
太陽光発電システムなどが備わっている家は人気があり、売却する際にも取引価格が高くなる傾向があります。
もちろん、古くて使いづらいシステムなど、物件によっては価格に影響を及ぼさないケースもあります。
ただ、多くの場合は再生可能エネルギーの設備が住宅の資産価値を保つうえで有効です。
まとめ
再生可能エネルギーは、環境への意識が高い人だけでなく、あらゆる人に恩恵をもたらし、また考えていかなければならない課題でもあります。
とりわけ、これから家を購入される方には、国が定める「省エネ住宅」の性能を満たすうえで、再生可能エネルギーの設備もおおいに役立つでしょう。
快適な住空間を長く維持するうえでも、環境に優しい家づくりを進めてはいかがでしょうか。
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