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【2023年版】省エネ住宅の基準や補助金制度をわかりやすく解説
環境への意識が高まるなか、家を建てるなら「省エネ住宅にしよう」と考えている方も少なくないでしょう。
省エネ住宅は、光熱費などのランニングコストを抑えられるといったメリットがある一方で、機能性を高めるために建設費が高くなるというデメリットもあります。
そこで活用したいのが、国や自治体などが用意する補助金制度。
一般的な住宅よりも補助金を多く得られることで、建設にかかる予算削減が期待できます。
ただし、補助金を得るには一定の条件を満たす必要があります。
そこで、補助金が得られる省エネ住宅の条件や具体的な制度と補助額について、まとめました。
省エネ住宅とは
そもそも省エネ住宅(省エネ基準適合住宅)とは、どのような家のことを指すのでしょうか。
ここで、省エネ住宅の概要について触れておきましょう。
省エネ住宅とは、簡単にいうと「高気密・高断熱で、省エネ性能の高い設備を備えた家」を指します。
具体的には、認定長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH、スマートハウス、LCCM住宅などが、省エネ住宅の一例です。
資源エネルギー庁のホームページによると、省エネルギー住宅を実現するには「断熱」「日射遮蔽」「気密」の3点の対策が必要だと伝えています。
断熱は「壁や床、屋根、窓などから逃げる熱の移動を少なくすること」、日射遮蔽は「日射による室温の上昇を抑えること」、気密は「住宅の隙間を減らすこと」が求められ、この3つの性能を高めて家庭で使用するエネルギー量を効率的に削減できる家のことを「省エネ住宅」というのです。
なお、国は2025年4月以降に新築するすべての住宅を「省エネ性能の基準に適合させる」と、省エネ住宅を義務化する方針です。
これに先立ち、2023年4月からはフラット35で住宅ローンを利用する場合、融資の条件として「省エネ基準の適合」が義務化されています。
参考:資源エネルギー庁「省エネ住宅」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/
省エネ住宅の基準とは
では、省エネ住宅に求められる性能基準とは、具体的にどんな基準なのでしょうか。
詳しく述べると長くなりますが、簡潔にいうと「外皮基準」と「一次エネルギー消費量基準」という2つの基準を満たすかどうかで判断されます。
外皮基準(UA値・ηAC値)
屋根や外壁、床、天井、窓など、住宅を取り囲む外気に接する部分のことを、専門用語で「外皮」といいます。
外皮は、室内の熱を外に逃がしたり、日射で室温を上昇させたりする部分ですから、省エネ住宅では断熱性や日射を遮る性能を高めることが求められます。
その性能を明確に評価する基準が、「UA値」「ηAC(イータエーシー)値」といわれるものです。
簡単に説明すると、UA値(外皮平均熱貫流率)は断熱性を評価する基準、ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)は日射を遮る性能を評価する基準です。
これらの数値が、省エネ住宅の基準に適合することが条件となります。
なお、基準値は地域によって異なります。
滋賀県の場合、UA値は0.87以下、ηAC値は3.0または2.8以下(滋賀県の地域によって異なります)が基準です。
一次エネルギー消費量(BEI)
一次エネルギー消費量とは、エアコンや照明、家電、給湯などの使用で消費するエネルギー量のことです。
このエネルギー消費量を明確に示す際に「BEI」という指標を用います。
少し専門的な話になりますが、BEIを求めるには「設計一次エネルギー消費量」と「基準一次エネルギー消費量」の二つの指標が必要です。
簡単にいうと、設計一次エネルギー消費量が基準一次エネルギー消費量を下回ることが求められ、「BEIが1.0以下」であれば基準を満たすことになります。
なお、太陽光発電システムなどの創エネ設備を導入する場合、そこで作られるエネルギー量を一次エネルギー消費量から差し引けます。
つまり、太陽光発電システムがあれば、省エネ基準を満たしやすくなるということです。
省エネ住宅を確認する方法は?
専門的な話が続いたため、難しいと感じた方もいらっしゃるでしょう。
ただ、こうした知識がなくても家の省エネ性能を簡単に確認する方法があります。
それが、住宅性能表示制度で定められた「等級」です。
家が完成して、すべての検査を終えると「住宅性能評価書」という書面を発行してもらえます。
この評価書に記載されている「断熱等性能等級」と「一次エネルギー消費量等級」を見ることで、家の省エネ性能を確認できます。
2022年10月より、断熱等性能等級は等級6・7が追加され、7つの等級になりました。
「等級5」がZEH水準、「等級6」「等級7」がZEH水準を上回る等級とされます。
一方、一次エネルギー消費量等級は4つの等級があり、「等級6」が最高ランクです(等級2と等級3はありません)。
等級6はZEH基準相当、等級5は低炭素基準相当とされます。
いずれも、等級の数値が大きいほど「省エネ性能が高い家」となっており、2025年にはすべての新築住宅において、それぞれの等級4が義務化されます。
省エネ住宅に関連する補助金制度や優遇措置
国や自治体では、省エネ住宅を取得した方に対して補助金を支給する制度を設けています。
また、省エネ性能の高い家には税金が安くなる優遇措置もあります。
ここで、省エネ住宅に関連する主な補助金制度や優遇措置をピックアップして紹介します。
(以下の補助額などの情報には、2022年度の情報も一部あります。
年度によって変更されますので、最新の情報は関連機関のホームページなどでチェックしてください)
ZEH補助金
ZEH基準を満たす新築住宅の取得またはリフォームをする場合に受けられる、国の補助金制度です。
一口にZEHといっても、省エネ性能などによって複数の種類に分けられます。
ZEH補助金も、「ZEH支援事業」「次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業」など、性能要件によって3つの事業に分かれており、補助対象や補助額が異なります。
取得する家がどの事業にあたるかを、確認しましょう。
補助額は55~112万円。追加要件を満たせば、補助額を増やすことが可能です。
なお、ZEH補助金は公募期間が設けられており、通年受け付けているわけではありませんので、建築スケジュールを合わせることもポイントです。
こどもエコすまい住宅支援事業
18歳未満の子どもがいる子育て世帯などが、ZEH水準の住宅を取得する際に使える補助金制度です。
ZEHのほか、2022年10月1日以降に認定された認定長期優良住宅や認定低炭素住宅なども適用されます。
補助額は、新築は一律100万円です。
リフォームでも適用されますが、補助額は要件によって異なります。
次世代省エネ建材の支援事業
「次世代省エネ建材」といわれる、高性能な断熱材や蓄熱・調湿材など活用してリフォームする場合に受けられる補助金制度です。
なお、新築には適用されません。
リフォームですから、補助金額は工事内容に応じて決まります。
一例として、家全体を外張り断熱する際には工事費用の2分の1(上限300万円)が受けられます。
給湯省エネ事業
給湯器は、家庭で使用するエネルギー消費量のなかで大きな割合を占めるといわれます。
その給湯器を、エネルギー消費の少ない高効率な製品に交換する場合、補助金が受けられる制度です。
補助額は、導入する製品に応じて異なります。
一例として、ヒートポンプ給湯器(エコキュートなど)は1台あたり5万円、家庭用燃料電池(エネファームなど)は1台あたり15万円です。
なお、この事業は「こどもエコすまい支援事業」と併用できません。
地域型住宅グリーン化事業 【令和5年度分は受付終了】
事業に参画している地域の工務店が建てた、ZEHや認定低炭素住宅などの木造住宅を取得する場合に受けられる補助金制度です。
補助額は省エネ性能によって異なります。
一例として、ZEH・Nearly ZEHや認定長期優良住宅は140万円です。
各種税制の優遇措置
補助金のほかにも、省エネ住宅を取得された方を対象とした税制面での優遇措置も、押さえておきたいところです。
たとえば、新築の認定長期優良住宅を取得された方は、登録免許税や不動産取得税、固定資産税の優遇制度が受けられます。
税額は固定資産税評価額に一定の税率をかけて求めますが、一例として登録免許税の場合、所有権保存登記の税率は0.4%が0.1%に、所有権移転登記は2.0%から0.2%(戸建住宅の場合)に引き下げられ、納税額を抑えられます。
また固定資産税は、新築の戸建住宅を取得すると3年間は税額が半分になる減額期間がありますが、認定長期優良住宅を取得する場合は5年間に延長されます。
なお、これらの優遇措置は2024年3月31日までの期限が設けられています。
住宅ローン控除の優遇措置
住宅ローンを利用して家を取得した方は、住宅ローン控除が受けられます。
その最大控除額は家の省エネ性能に応じて異なり、性能が高い家ほど受け取れる還付金が多くなる場合があります。
たとえば、省エネ基準を満たさない一般住宅の年間最大控除額は21万円ですが、省エネ基準適合住宅だと28万円、ZEHは31.5万円、各種認定住宅は35万円です。
なお、住宅ローン控除は納めた所得税などから控除される仕組みですから、納税額以上の還付は受けられませんので、把握しておきましょう。
まとめ
省エネ住宅を購入すると、高断熱・高気密・日射遮蔽による快適な住空間を実現できますし、住み始めてからの光熱費を削減できるなど、さまざまなメリットが享受できます。
家の機能がアップするため建築費は高くなりますが、補助金や税制面での優遇措置が受けられますから、上手に活用して省エネ住宅をお得に手に入れましょう。
なお、2025年以降はすべての新築住宅が省エネ基準を満たすことになります。
そのため、補助金や優遇措置が大きく変更されることも考えられますので、検討されている方は早めに行動されることをおすすめします。
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