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住宅ローンとカーローンは併用できるのか?複数借り入れの影響は?
人生で多くの方が組むことになるローンの中で、最も比重を占めるのが住宅ローンとカーローンです。家の場合は数十年、車の場合は数年で完済するのが目安となります。しかし、このように複数のローンを組む場合、併用できるのかどうか気がかりですよね。
結論を先にいえば、住宅ローンとカーローンの併用自体は可能です。
ただし、注意が必要となります。
今回は、住宅ローンとカーローンが併用できる理由についてはもちろん、複数ローンの影響についても紹介します。複数のローンを組む際に鍵となる返済負担率についても解説します。この記事を読めば、無理のない範囲でローンを組めるようになるはずですので、住宅ローンとカーローンを併用したい方は最後まで読み進めてみてください。
なお、年収などの条件次第で返済負担率が変わるため、あくまでもここでは一般的な例をもとに情報をまとめていきます。最終的には自分の年収で計算する必要が出てくるため、もしローンについて疎いならプロの専門家への相談も含めて検討してみてください。
ローンを組む上で重要な返済負担率
一般的に融資などの借金する際、融資限度額を年収の3分の1以内とする総量規制があることを理解しなくてはなりません。そのため、仮に年収300万円であれば100万円までしか借りられない計算となります。その一方、実は住宅ローンとカーローンに限り、それらの総量規制が適用されません。つまり、総量規制の適用対象外のため、原理的には制限がないわけです。
しかし、どちらのローンにおいても審査があります。この審査においてローンの返済額が年収に対して一定割合を超えてはいけないという制限があるため、実質的には上限があるわけです。この上限を決めている割合が「返済負担率」です。返済負担率は金融機関ごとに異なり、ローンが組める返済負担率の基準もそれぞれ違います。つまり、同じ金額の融資であっても、金融機関によっては審査に通ったり通らなかったりするわけです。これら返済負担率は年収によって決定し、年収が多くなればなるほど融資可能額も多くなり、年収が少なければ少ないほど融資可能額も少なくなります。
なお、返済負担率は下記の計算式で求めることが可能です。
・年間返済額÷年収×100=返済負担率
仮に年間返済額が30万円で年収300万円であれば、返済負担率は10%になります。年収に対する返済負担率が10%であれば無理なく返済もできるため、ほとんどの金融機関で融資が通る仕組みとなります。つまり、この返済負担率をいかに設定するかが審査の可否を決める要素となるわけです。
なお、住宅ローンのフラット35においては下記の返済負担率があらかじめ決められています。そのため、基準を超える住宅ローンは組めないので、十分に注意しましょう。また、上限で借り入れする場合、カーローンがあるとその分だけ返済負担率を圧迫してしまいます。その結果、カーローンと併用する場合は融資可能額が減ってしまうため、入念に計画を立てておく必要があります。
仮にフラット35で住宅ローンを組む場合、返済負担率は最低で30%、最高で35%が基準となります。つまり、年収300万円であれば年間返済額は90万円まで、年収500万円であれば年間返済額は175万円まで、年収1,000万円であれば年間返済額は300万円となる計算です。自身の年収と上記の30~35%のパーセンテージから計算するだけなので、特に難しいことはありません。さらに上記で計算した年間返済額を12で割れば、1ヵ月当たりの月間返済額が計算できます。たとえば、年収300万円だと月間返済額は約7万5,000円、年収500万円だと月間返済額は約14万6,000円、年収1,000万円だと月間返済額は約25万円となります。
ただし、これらはあくまでも借入可能額であり、返済目安額とはいえません。たとえば、年収300万円の方は保険料や税金を差し引かれて、月々の手取りが20万円ほどとなります。その中で毎月7万5,000円を返済していくのは経済的負担が大きいでしょう。住宅ローンを支払うだけで月々自由に使える手取りが12万5,000円となってしまうため、貯金も相当切り詰めなくてはなりません。だからこそ、ローンを組む際は借入可能額ではなく返済目安額を自分で設定することが重要です。
自動車ローンの有無による住宅ローンの借入可能額の違い
カーローンがある場合とない場合とでは、住宅ローンの借入可能額にどういった影響が出てくるのでしょうか。これに関しては先に結論をいうと、カーローンの年間返済額や月間返済額の分だけ、住宅ローンの借入可能額が減ってしまいます。そもそも返済負担率はカーローンと住宅ローンを別途で考えているわけではありません。もちろん、融資の目的は別物なのですが、返済負担率は年収が基準となるため合算して考えるのが普通です。
そのため、年収300万円の方が返済負担率30%で融資を受ける場合、年間返済額が90万円を超えることはできません。たとえば、仮に年間返済額が24万円のカーローンを組んでいる場合、住宅ローンは66万円までしか組めない計算となるわけです。カーローンの月間返済額が2万円となっているのなら、住宅ローンの月間返済額は5万5,000円までしか借りられないということです。それを超える場合は審査に落ちると考えておきましょう。
つまり、カーローンの割合が大きくなればなるほど、住宅ローンを借りられる割合が小さくなるということです。その逆もまた然りです。どちらもお互いに影響し合うため、カーローンがあるのかないのかで住宅ローンの借入可能額が変わるということも覚えておいてください。
すでにローンを組んでいる場合はどうすればいい?
もしすでにローンを組んでいるのなら、先に既存のローンを返済してから新規のローンを組むことをおすすめします。ローンの併用は可能といえば可能ですが、生活を圧迫するだけでなく返済可能額の上限まで借りることになります。それは結果的に経済的負担を増やすことになるため、ローンは併用せずに組むのが賢いやり方です。
そもそも「借入可能額=返済目安額」ではありません。借入可能額は「借りようと思えば借りられる額」であり、返済目安額は「無理なく返済できる額」です。そのため、年収300万円の方の返済負担率が30%であっても、借入可能額の90万円ギリギリまで借りる必要はありません。むしろ上限まで借りるのは避けましょう。特に、ローンの併用を考えるのなら、返済負担率の5~7割ほどに抑えておくと安心です。
ライフステージによっては家だけではなく車が欲しくなることもあるでしょう。それらを組み込む余裕を持たせておくことが大切です。すでにローンを組んでいる方は繰り上げ返済するなど、まずは今あるローンを完済することを当面の目標にしましょう。そうすることで次のローンを組む際に返済計画が立てやすくなります。
複数のローンを組むときに覚えておきたいこと
複数のローンを組む際、何も考えずにひたすらローンを組んでいると、気づけばいくつものローンを組んでいる状況になってしまいます。これはいわゆる多重債務者と同じ状況です。そこで、ここでは複数のローンを組む際に覚えておきたいことを簡単にまとめます。
1.審査に落ちるリスクがあること
複数のローンを借りている場合、審査に落ちるリスクがあります。返済負担率を超えていない限りは住宅ローンもカーローンも組めるのですが、どちらか片方をすでに組んでいる場合、もう片方のローンの審査で落ちる可能性が高くなります。審査に落ちれば本末転倒なので、複数のローンを組む際には既存のローンを完済してからにしましょう。
2.計画が破綻するリスクがあること
複数のローンを組むと返済計画が破綻するリスクもあります。年収によって返済負担率が設定されているわけですが、上限まで借り入れすると常に返済に追われる生活になってしまいます。その結果、返済計画が頓挫してしまいかねません。当然ながら、返済が不可能となると、最悪の場合は財産差し押さえなどの措置にまで発展します。もしくは連帯保証人などに迷惑がかかります。複数のローンを組む場合はそれらのリスクも考えてみましょう。
3.人生の選択が減るリスクがあること
複数のローンがあることで、人生の選択が減るリスクにも気をつけておきましょう。たとえば、長い人生では育児や介護が必要となることもあります。しかし、常に返済に追われている状態では余力がないため、常に我慢を強いられる生活となります。余裕がないためにまたローンを組むという悪循環にもなりかねないため、原則は一括で支払うことを基準にしつつ、どうしても一括で支払えない住宅ローンだけローンを組むなど計画的に返済していきましょう。
すべてのローンをまとめることはできるのか?
ローンを複数抱えている方の中には「一本化したい」と考えている方も多いかもしれません。たしかに、方法によってはローンをまとめることは可能です。しかし、それは賢い選択とは言えません。そもそも一本化することで管理しやすくなるなどのメリットもあるのですが、逆にいえば、安易に「解決した」と思わせられます。その結果、ローンを組むことに対する罪悪感なども消えてしまい、借金するということのハードル自体が下がってしまうわけです。それはデメリットといえるでしょう。
結論をいえば、すべてのローンをまとめることはできます。しかし、まとめるべきではない、というのが最終的な結論です。というよりも、1つひとつのローンをきちんと認識して完済することが重要ということです。膨らみ続けたローンはいずれ自分の首を絞めることになるため、原則として新たにローンを組むなら古いローンを完済してからにすることが大原則です。
まとめ
住宅ローンとカーローンは併用可能です。しかし、年収に対して決められている返済負担率を超えることはできません。住宅ローンとカーローンは原則として総量規制の対象外ですが、無理のある返済計画だと金融機関の審査に落ちます。そのため、実質的に住宅ローンとカーローンは併用できたとしても、お互いに影響し合うことを覚えておかなくてはなりません。
複数のローンを組むとお互いに影響し合ってにっちもさっちも行かなくなるため、原則は「1つ契約するなら1つ完済する」を徹底するのが安全です。
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