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断熱材はどれが良い?断熱材の種類とメリット・デメリット
住宅を快適にするためには、いくつかの要素がありますが、その中でも「断熱」は非常に重要です。外部からの気温の影響を遮断し、室内を一定の温度に保つためには、適切な断熱材が必要不可欠です。
しかしながら、断熱材には様々な種類が存在し、それぞれに異なる材質や性能があります。特徴や設置箇所を理解せずに選ぶと、思っていたほどの断熱効果が得られないことや、かえって快適さを損ねる可能性もあります。
この記事では、一般的な断熱材の種類について紹介し、それぞれのメリットやデメリットについても触れていきます。
これにより、適切な断熱材を選ぶ際に参考になる情報をご紹介します。
断熱材の役割は快適な住空間を保つこと
住宅における断熱材の重要性は、熱を遮断することにあります。
極端に寒い状態や暑すぎる状態では、快適に暮らすことができません。
コンクリートや窓ガラスなど住宅建築に用いられる素材は、外気温をそのまま室内に伝えてしまいます。
そのため、外部の気温の影響を遮断する断熱材が不可欠です。
新しい住まいの居住性を考える際には、断熱材の特徴を事前に知っておくことをおすすめします。
断熱材は材質によって3つに分類できる
断熱材は、主に以下の3つのカテゴリーに分類されます。
繊維系断熱材
繊維系断熱材は、ガラスや鉱物を繊維状にした断熱材で、その中でも「無機質系断熱材」と「木質繊維系断熱材」があります。
無機質系断熱材は、グラスウールやロックウールといった鉱物を原料としています。
これらの断熱材は、繊維の隙間に空気を閉じ込めることで優れた断熱性を発揮します。
一方で、木質繊維系断熱材は、セルロースファイバーやインシュレーションボードなどの木質系素材を利用しています。
これらの断熱材も繊維の隙間に空気を含んで断熱効果を生み出しますが、同時に木質素材ならではの特徴や利点も持っています。
天然素材系断熱材
天然素材系断熱材は、無添加で自然素材を利用して作られた断熱材のことです。 これらの断熱材は、環境に優しいとされており、再生可能な素材を使用することで持続可能な建築に貢献します。
ただし、天然素材を使用するためには、その素材の収穫や加工に手間や時間がかかりそれにより生産コストを押し上げる傾向があります。そのため、一般的には他の断熱材に比べて高価になるケースが多いです。
発泡プラスチック系断熱材
発泡プラスチック系断熱材は、プラスチックを発泡させて細かい気泡を作り、その中に空気を閉じ込めた断熱材です。この気泡や空気層が熱の伝導を阻止し、優れた断熱性を発揮します。
一部の高性能な発泡プラスチック系断熱材には、断熱性をさらに向上させるため、特殊なガスを気泡内に閉じ込めるものもあります。このガスは熱の伝導を低減させ、断熱性能をより高める役割を果たします。
適切な断熱材を選ぶためには、それぞれの特徴や利点、デメリットを理解することが重要です。
断熱材9種類の特徴を紹介
今回ご紹介する断熱材は、以下の9種類です。
<無機繊維系>
・グラスウール
・ロックウール
<木質繊維系>
・セルロースファイバー
<天然素材系>
・羊毛(ウールブレス)
・炭化コルク
<発泡プラスチック系>
・ビーズ法ポリスチレンフォーム
・押出発泡ポリスチレン
・硬質ウレタンフォーム
・フェノールフォーム
それぞれの特徴を見ていきましょう。
グラスウール
グラスウールは、ガラスを溶かして繊維状に加工したものです。
繊維が細かく絡み合い、その間に空気の層ができることで、内外の温度の遮断に役立ちます。
グラスウールの特徴としては、ガラスが燃えづらい性質を持っていることが挙げられます。 また、価格も比較的安価であり、大量に利用されているため入手しやすいというメリットもあります。
ただし、グラスウールは湿気を吸収することができないため、壁に微細な隙間がある場合や防湿対策が不十分な場合には結露が生じる可能性があります。 しかし、丁寧に施工し隙間を作らないようにする、また防湿シートなどを使用して湿気対策を行うことでこの問題を解決できます。そのため、適切な対策を講じれば、グラスウールは問題なく使用できます。
ロックウール
ロックウールは、鉄炉スラグや玄武岩などを粉砕し、同様に繊維状に加工した断熱材です。 基本的な性能や使い方はグラスウールと似ていますが、主にヨーロッパで利用されています。
その優れた収音性能や断熱性能から、空港などの施設でも利用されています。
グラスウールと同様に燃えにくく高い断熱性能を持っています。
さらに、鉱物を原料としているため、害虫などにも強いというメリットもあります。
一方で、湿気に弱いのがデメリットです。
セルロースファイバー
セルロースファイバーは古紙を再利用した繊維のため環境に優しい断熱材です。
調湿性にも優れており、結露対策にも有効です。
また、防火性能や害虫予防にも効果的で、多目的な断熱材として広く利用されています。
セルロースファイバーの施工方法は吹き付け充填工法です。
細かな連続気泡を吹き付けて断熱層を形成するため、細かい部分にも均一に断熱材を配置することができ、隙間を作ることなく高い気密性を確保できます。
セルロースファイバーの利点は多いですが、その分価格も比較的高くなります。
羊毛(ウールブレス)
その名の通り羊毛を主成分として使用した断熱材です。
天然素材を使用しているため、虫対策を施したロール状の製品が市販されています。
羊毛は自然素材であるため、一定の調湿効果があり、別途防湿シートを設置する必要がなく、施工費用を節約できるという利点があります。
ただし、断熱材自体の価格が高いことや施工可能な業者が少ないという点がデメリットといえます。
炭化コルク
コルク断熱材はワインの栓などに使用されるコルク樫の端材を活用し、炭化させて作られる断熱材です。
素材の中に多くの空気を含んでいるため、優れた断熱性能や調湿性、吸音性を持つことです。
また、コルク樫自体が持つ防虫効果によって、ダニを寄せ付けない性質もあります。
コルク断熱材は、環境に優しい素材を使用しているため、生産過程や廃棄物の発生においても環境負荷を軽減できます。
しかしながら、コルク断熱材は端材を利用した製品であるため、原料の調達や製造には手間やコストがかかります。
そのため、一般的に価格が高くなる傾向となります。
ビーズ法ポリスチレンフォーム
ビーズ法ポリスチレンフォームは、粒状のポリスチレンを金型に入れて発泡させる方法製造される断熱材です。
この材料は、水に強く耐久性があり、軽くて柔らかい性質を持っています。そのため、施工が比較的容易であり、取り扱いも簡単です。また、発泡プラスチック系断熱材の中では比較的価格が安く、利用範囲が広い断熱材として知られています。
さらに、ビーズ法ポリスチレンフォームは水を吸収しない特性を持っているため、結露の防止にも効果的です。
一方、デメリットとしては、断熱性能は無機繊維系の断熱材と同程度であるにも関わらず価格が無機繊維系よりも高いという点が挙げられます。また、熱に対しては比較的弱く、防火性能が不安定であるという特性もあります。
押出発泡ポリスチレン
押出発泡ポリスチレンは、ポリスチレンを連続的に発泡させて作られるボード状の断熱材です。
この断熱材は薄くても高い断熱性能を発揮し、また水や湿気にも強いという特徴があります。さらに、軽量なので加工や施工が容易であり、ホルムアルデヒドなどの有害物質を含まないため、安全性にも優れています。
しかしながら、押出発泡ポリスチレンは熱に対しては弱く、防火性に制限があるというデメリットがあります。また、断熱性能はやや低くなる傾向があり、経年変化によって性能が低下する可能性もあります。
硬質ウレタンフォーム
硬質ウレタンフォームはフロンガスなどの発泡剤を添加して作られる充填式の断熱材であり、高い断熱性能と省エネ効果が期待できます。
この断熱材の特徴は、小さな気泡に含まれるガスが熱伝導を抑え、優れた断熱性能を提供することです。また、透湿性や耐久性にも優れています。
しかしデメリットもいくつかあります。まず、価格が比較的高くなることが挙げられます。また、万一火災が発生した場合には、有毒ガスが発生するリスクがあるため、防火対策が必要です。
フェノールフォーム
フェノールフォームは、フェノール樹脂に発泡剤や硬化剤を添加してボード状に形成される断熱材です。この素材は耐火性や耐熱性に優れており、不燃性や準不燃性の認定を受けています。また、熱伝導率が低く、断熱性能が高い特徴があります。
一方で、フェノールフォームのデメリットは価格が高く、水や害虫にも弱いという点です。また、細かい部分を埋める柔軟性には欠けるため、細かな用途には向いていません。
無機繊維系断熱材を選ぶメリット・デメリット
グラスウール、ロックウールなどの無機繊維系断熱材のメリットは、コストパフォーマンスの良さです。これらの鉱物由来の製品は、火災や高温などの被害に対しても強く、世界的に広く使用されているため、比較的安価に入手できます。
しかしながら、無機繊維系断熱材にはデメリットもあります。湿気を吸収しないため、湿気対策が必要です。また、肌に触れたり吸い込んだりすると、有害な影響がある可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。
木質繊維系断熱材を選ぶメリット・デメリット
セルロースファイバーを使うメリットは、断熱性だけでなく、多少の防音性や調湿作用も期待できることです。木質由来の天然素材を使用しているため、ナチュラル志向で家を建てたいという人にも適しています。
しかしながら、無機繊維系断熱材に比べるとセルロースファイバーはコストが高くなる傾向があります。予算に余裕を持たせることをおすすめします。また、セルロースファイバーの質量は比較的重いため、多量の使用によって高い調湿効果が得られることがあります。例えば、過ごす時間の長いリビングルームなどにセルロースファイバーを選ぶこともおすすめです。
天然素材系に分類される断熱材のメリット・デメリット
羊毛、炭化コルクなどの天然素材系断熱材は、防虫効果や調湿作用などのメリットがあります。特に柔らかい羊毛は、細かい部分にもカットして敷き詰めることができ、狭小住宅でも効果的に使用できます。
しかしながら、天然素材系の断熱材は供給量が限られているため、コストが高くなる傾向があります。予算が制約されている場合は、選択肢が限られるかもしれません。
発泡プラスチック系断熱材を使うメリット・デメリット
水を弾き、軽量で加工しやすい発泡スチロール系断熱材は、比較的安価で取り扱いが容易なため、使いやすい断熱材の一種です。日本では、吹き付け式のものが一般的であり、隅々まで断熱材を充填できます。
しかしながら、発泡スチロール系断熱材にはいくつかの制約も存在します。一般的に、発泡スチロール系断熱材は熱に対しては脆弱であり、適切な使用場所を選ぶ必要があります。
まとめ
断熱材によって住まいの快適さは大きく変わります。
どのタイプの断熱材を選ぶかによって性能も大きく変わるため、予算や場所に合わせて適切な断熱材を選ぶことが重要です。
快適なマイホームにするためにも断熱に対してこだわってみてはいかがでしょうか。
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