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住宅の寿命は何年なのか?木造・鉄骨・鉄筋の耐用年数や長持ちさせるポイント
日本の住宅の寿命は「30年前後」といわれることが多いようです。
ただ、家の寿命は構造によっても異なりますし、メンテナンスや補修を適切に実施すれば、もっと長く住み続けることも可能です。
では、物理的に住み続けられる年数は、どれくらいが目安になるのでしょうか。
愛着のある家に1日でも長く住めるよう、住宅を維持するためのポイントも含め、住まいの寿命について解説します。
法定耐用年数と本当の耐用年数は違う?
住宅の寿命を示す言葉として、「耐用年数」を用いることがあります。
この耐用年数には、大きく2つの意味があるのをご存じでしょうか。一つが「法定耐用年数」、もう一つが「実際の住宅の寿命」です。
それぞれの言葉について、見ていきましょう。
法定耐用年数とは
法定耐用年数とは、税制上の建物の資産価値を求める際に、減価償却分を算出するときの指標として用いられます。
具体的には、「建物の固定資産税」を求めるときに使われるものです。
固定資産税は、不動産の資産価値を示す評価額(固定資産税評価額)に一定の税率をかけて求めます。
この際、建物の場合は築年数が古くなるほど評価額は下がるのが一般的です。
これは、評価額から減価償却分が一定期間差し引かれるからです。
この減価償却分が差し引かれる一定期間が、法定耐用年数にあたります。
法定耐用年数は、建物の構造によって異なります。一例を挙げると、以下の通りです。
・木造:22年
・鉄骨:34年
・鉄筋コンクリート:47年
極論ですが、築23年以上の木造住宅は「税制上の資産価値がなくなる」ともいえます。
ただ、建物の固定資産税がゼロになるわけではありませんので、ご注意ください。
また、法定耐用年数は税制上の資産価値を示すものであり、物理的に住めなくなる年数とは異なります。
減価償却がなくなった住宅でも、快適に住み続けることは可能です。
実際の住宅の寿命
工学的な見地から、その家に住み続けられる年数を示したのが「実際の住宅の寿命」です。
専門用語で「物理的耐用年数」ともよばれます。
実際の住宅の寿命を示す目安として、大規模なリフォームや建て替えが必要になる年数を、この耐用年数とみることもできるでしょう。
この場合も、建物の構造などによって年数は異なります。構造別に見たときの物理的耐用年数は、次の通りです。
・木造:30~80年
・鉄骨:30~60年
・鉄筋コンクリート:40~90年
木造住宅を例に挙げると、30年で建て替えなどが必要な家もあれば、80年経っても住み続けられる家もあるということになります。
この差は、物理的な要因だけでなく、日本人の「住まいに対する価値観」も大きく影響していると考えられます。
欧米では、古くから中古住宅市場が確立されており、築年数の古い家でも他の家族が移り住んで受け継ぐ風習があります。
実際に、築100年以上の歴史がある家も、不動産市場で多数売買されています。
これに対して日本では新築志向が強く、中古住宅市場が未成熟の時代が長く続きました。
このため、物理的には住み続けられる家でも、世代やライフスタイルが変わると解体して建て直すのが一般的だったのです。
住宅の寿命が30年前後といわれるのは、「世代やライフスタイルが変化するのが、おおむね30年間隔だから」という理由もあるようです。
ただ、最近では中古住宅の価値を見直す動きがあり、日本でも中古住宅市場が注目を集めるようになりました。
中古住宅を購入して自分たちが住みやすいようにリフォーム・リノベーションをするなど、長く住み続けられる家も増えています。
また、建築業界の技術の進歩にともない住宅の性能が向上していることも、より長く住み続けられる家が増えている要因です。
メンテナンス次第で実際の住宅の寿命は変わる
上記に示した実際の住宅の寿命は、あくまでも目安です。
構造や価値観以外にも、さまざまな要因で耐用年数は異なってきます。
たとえば、高温多湿になりやすい土地では構造材が腐朽して耐用年数が短くなることもありますし、海岸沿いでは潮風で鉄骨がさびて老朽化を早めることもあります。
こうした物理的な要因は、定期的にメンテナンスを実施することで防ぐことも可能です。
つまり、適切なメンテナンスをおこなうことが、住宅の寿命を延ばすことにつながるのです。
ここで、より長く住み続けられるためにできる対策法を、いくつか紹介します。
日常的に点検する
メンテナンスの基本は、日常的な点検から始まります。
たとえば、日々の清掃をこまめにおこなっていれば、水漏れや異臭を発見したり外壁のひび割れを見つけたりすることがあるかもしれません。
こうした欠陥を発見したら、早めに対処することで住宅の寿命を延ばすことにつながります。
特に、外観部分はこまめにチェックしたい箇所です。
ひび割れした部分から雨水が浸入して構造材の腐食が進むケースもありますし、雨どいに割れや詰まりがある場合は屋根にも影響しているかもしれません。
また内装も、壁紙の汚れや剥がれ、フローリングのたわみなどがあれば、張替えを検討したいところです。
専門家による定期点検
日常点検だけでは、住まい全体の異常をすべて確認することはできません。
メンテナンスの専門業者に依頼して、定期点検も実施しましょう。
住宅の老朽化が始まるのは10年後以降です。
たとえば、洗面所やトイレなどの水まわり設備は約10年で耐用年数を迎えます。築10年前後で、水漏れや異臭などがないかを専門家にチェックしてもらいましょう。
10年を超えると屋根や外壁、ベランダといった部分にも劣化が生じやすくなります。
塗装の剥がれや木材の腐朽などがあれば、塗り直しや補修・修繕などを検討する必要があるでしょう。
また、床下もシロアリの被害を受けていないかを定期的に確認したい箇所です。
必要に応じて、シロアリ駆除や薬剤散布なども実施してもらいましょう。
このように、素人の目ではわからない異常を早期発見してもらい、早目に対処することで住宅の寿命を延ばせることもありますので、築10年を過ぎたら定期的にチェックしてもらうことが大事です。
部分的にリフォームする
点検で補修が必要な箇所が多数発見された場合は、部分的なリフォームを行うのも、家を長持ちさせるための一手です。
壁紙やフローリングの張替え、給湯器やコンロの交換、屋根や外壁の補修や塗装など、それぞれの箇所の耐用年数に応じて部分的なリフォームを実施しましょう。
後でまとめてリフォームするより、異常を発見次第こまめに補修した方が、結果的に工事費用を安く抑えられるケースが多いです。
寿命が近づいた家はどうすればいい?
どんな家でも、いずれ寿命を迎えます。
物理的に住み続けられても、家族構成やライフスタイルの変化に適応しなくなれば、それも住宅の寿命といえるでしょう。
住宅の寿命が近づいたら、リフォームや建て替えなどを検討したいところです。
ここで、寿命の近い家の対処法について考えてみます。
リフォームする
経年劣化による損傷の少ない家なら、リフォームをすることで住み続けられるかもしれません。
住宅の構造によっては、大規模な間取りの変更ができるケースもありますから、そのときのライフスタイルに合わせることも可能です。
また、建て替えよりも工期やコストを抑えられる点でも、リフォームは選択肢の一つになります。
ただ、住宅の構造によっては間取りの変更ができないケースもあります。
たとえば、ツーバイフォー住宅は、壁を取り除くと耐震性などの点で影響を与える場合があるため、希望する間取りにリフォームできないこともあります。
コストの点でも、基礎や構造などに欠陥が見つかると、工事費用が大幅に増える可能性があります。
定期的にメンテナンスを実施していない家だと、工事が始まってから欠陥が見つかるというケースも散見されますので注意が必要です。
建て替える
リフォームで対応できないときは、建て替えを検討しましょう。
1から設計するため、間取りの変更も自由にできますし、最新の建築技術や住宅設備を導入することにより、頑丈で快適に暮らせる家を実現します。
リフォームよりも自由度が高い点が、建て替えを選ぶメリットです。
一方で、建て替えをするには、現在住んでいる家の解体工事が必要です。
そのため、リフォームよりも工期は長くなり、コストも高くなります。
またリフォームの場合、工事内容によっては住み続けながら進めることも可能ですが、建て替えでは仮住まいが必要です。
売却する
リフォームや建て替えの資金がないときは、売却も選択肢の一つです。
家の状態によっては、市場価格より高値で売れる可能性もあります。
メンテナンスの記録などを記載した住宅履歴情報を持っている方は、不動産会社で査定してもらう際に提出しましょう。
この情報は、買手にもアピールできますから、早期売却も期待できます。
逆に、住宅履歴情報がないと査定額が低くなる可能性がありますし、いつまでも売れないケースも考えられます。
売れなければ価格を下げるなどの対策も必要ですが、住宅ローンの残債がある方は、売却額で残債を完済できないと家を手放せません。
築年数が古く経年劣化の激しい家なら、解体して土地だけにしたほうが売却できる可能性が高まることもあります。
まとめ
住宅の寿命は、構造による違いだけでなく、さまざまな外的要因により変わります。
特にメンテナンスは重要で、適切に行えば木造住宅でも100年近く住み続けることも可能です。
また、メンテナンスの実施履歴を残していれば、仮に家を売却することになった場合でも査定評価がアップするなど有利な条件で進められます。
家を購入したら、まず長期的な修繕計画を立て、それを実施していきましょう。
それが、家の寿命を延ばすポイントであり、資産価値を保つ上でも有効な手段なのです。
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