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自営業は住宅ローンが通らない?自営業の方が住宅ローン審査を通すためのポイント
「自営業だと住宅ローンの審査に通らない」という話を、聞いたことがありませんか?
もちろん自営業の方でも、住宅ローンを利用して理想のマイホームを手に入れた方は、たくさんいらっしゃいます。
では、なぜ自営業だと住宅ローンの審査に通りにくいといわれるのでしょうか。
金融機関の審査基準から、自営業でのローンが通りにくい理由や、通りやすくするためのポイントをお伝えします。
自営業だと住宅ローンの審査に通りにくい理由
自営業の方が住宅ローンの審査に通りにくいといわれる理由には、大きく2つあります。
一つが「安定した収入が見込めないから」、もう一つが「事業の継続性に不安があるから」です。
安定した収入が見込めないから
金融機関の審査基準の一つに、「収入の安定性」という項目があります。
住宅ローンは返済期間が30年前後と長く続くものですから、「一時的に収入の多い人」よりも、「収入が少なくても安定して得られる人」の方が審査のポイントは高いのです。
このため、毎月一定の給与を得ている給与所得者の方が、審査に有利といわれます。
一方で自営業は、収入の多い年もあれば少ない年もあるなど、収入が不安定と見られる傾向があり、審査に不利とされています。
また、雇用保険や労働保険といった社会保障の点でも、給与所得者と比べて不利です。
病気などで収入が減ったときに「返済が滞るリスクがある」と金融機関から見られやすいことも、審査に通りにくい理由といわれます。
事業の継続性に不安があるから
「勤続年数」も、多くの金融機関が住宅ローンの審査基準にしています。
一般的には、3年以上の勤務(事業継続)を条件としている金融機関が多く、転職や起業したばかりの方だと審査に通りにくいといわれます。
さて、事業の継続性という観点でみると、企業(法人)よりも自営業(個人)の方が「廃業しやすい」というデータがあります。
少し古いですが、2006年の中小企業白書によると、法人は1年後に約2割、10年後には約3分の1が廃業しているのに対し、個人事業主の場合は1年後に約4割、10年後には9割近くが廃業しているという調査結果でした。
このことから、自営業は事業の継続性が不安視され、金融機関の審査にマイナスにはたらくといわれます。
自営業の人が審査でみられるポイントとは
住宅ローンの審査基準は、自営業でも給与所得者でも同じです。
基本的には、年齢や収入、借入額(返済負担率)などの項目がありますが、自営業の場合は「収入の安定性」「事業の継続性」「他のローンの借入額」が注意したいポイントでしょう。
収入の安定性
収入(年収)の審査について、給与所得者の場合は前年分(1年分)の源泉徴収票でチェックされます。
一方の自営業の場合は「直近3期分(3年分)の確定申告書または納税証明書のコピー」を、住宅ローンの申込書類に添付しなければなりません。
これは、給与所得者であれば収入に大きな変化がないのに対し、自営業は変化が大きい(収入が不安定)と金融機関がみているからです。
また、審査基準は金融機関によって異なります。
たとえば、直近3期分の平均収入で審査する金融機関もあれば、一番少ない年の収入で判断するところもあります。
直近3期分のうち1年でも赤字がある自営業の方は、注意が必要です。
事業の継続性
多くの金融機関では、直近3期分の確定申告書を求めることから、少なくとも事業開始から3年以上経過していることが、審査のポイントでしょう。
起業したばかりや3年未満の自営業の方だと、審査にマイナスの影響を与えます。
ほかのローンの借入額
金融機関の審査では、自動車ローンやカードローンといった「ほかのローンの借入額」も、基準とするところが多いです。
借入額が多いと、「住宅ローンまで借り入れて返済できるのか?」と金融機関は懐疑的になります。
これは、給与所得者でも同じです。
自営業の場合、注意したいのが「事業用の融資(ビジネスローン)もチェックしている金融機関があること」。
事業資金の借入額が多い方は、できる限り返済したうえで住宅ローンの申し込みをした方が良いでしょう。
なお、ほかのローンの返済に滞納履歴がある方は、審査に通らない可能性が高まります。
滞納すると、いわゆる「ブラックリスト」に登録されるため、どの金融機関でも把握できます。
返済が滞った経験のある方は要注意です。
自営業が住宅ローンの審査に通るためには
自営業だと、住宅ローンの審査に不利な点が多いことは事実です。
だからといって、住宅ローンが使えないわけではありません。
金融機関の審査でマイナスになりやすいポイントを、できるだけ減らすことによって、審査に通りやすくなります。
ここで、自営業の方が審査に通りやすくするために実践したいポイントをお伝えしましょう。
頭金(自己資金)を増やす
自己資金の多い人は、「計画性のある人だから返済が滞りにくい」と、金融機関からの評価がアップするといわれます。
また、頭金を多く用意して住宅ローンの借入額を減らすことで、審査に通りやすくなりますし、返済額を抑えられるため新居に住み始めてからの家計に余裕が生まれるというメリットもあります。
自己資金の少ない方は、親から支援してもらうなど、できるだけ多くの資金を集めましょう。
ほかのローンの借入額を減らす・完済する
住宅ローン以外にも金融機関から融資を受けている方は、可能な限り返済してから申し込みましょう。
完済できればベストですが、難しい場合は、金利の高いローンから返済していくと負担が軽くなります。
返済負担率を25%以内にする
住宅ローンの借入可能額を決める要素のひとつに、「返済負担率」があります。
返済負担率とは、年収に対する年間返済額の割合を示したものです。
年収400万円の人が年間100万円のローンを返済する場合、返済負担率は25%(100万円÷400万円)になります。
多くの金融機関では、返済負担率を30%前後に設定しています。
つまり、返済負担率が30%以内に、できれば25%になる借入額を申し込めば、審査に通りやすくなるのです。
なお、年間返済額には、住宅ローンだけでなく他のローンの返済額も含みます。
この点でも、借入の多い人は審査に通りにくいといえるのです。
自営業にやさしい金融機関を選ぶ
一口に金融機関といっても、大手企業を得意先に持つメガバンクもあれば、自営業の方を中心に融資している地方銀行や信用金庫などもあります。
自営業の方との取引が多い地方銀行や信用金庫であれば、資金計画に相談に乗ってくれるなど、審査に通りやすくなる可能性が高まるでしょう。
事業資金を借り入れている金融機関があれば、相談してみるのも一手です。
フラット35を利用する
自営業の方が借り入れしやすい住宅ローン商品もあります。
代表的なものが、「フラット35」です。
フラット35とは、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する、全期間固定金利型の住宅ローンです。
審査基準は、「返済負担率」と「住宅の性能」が主で、収入を示す確定申告書の提出は1期分のみとなっています。
つまり、前年の収入のみで審査されますから、「収入の安定性」や「事業の継続性」を問われないことが、自営業の方でも利用しやすいといわれる理由です。
起業して間もない方でも、審査に通る可能性があるでしょう。
また、返済負担率を求める際には「事業用融資は含まなくても良い」ことも、自営業の方にとってのメリットです。
事業用として借り入れている証明は必要ですが、それでも希望額を借り入れるチャンスが広がるため、自営業におすすめの住宅ローンといえます。
フラット35を利用するときの注意点
フラット35は、審査が比較的厳しくなく、自営業の方でも使いやすい住宅ローンです。
ただし、一定の条件を満たさなければ審査に通りませんし、利用に関する注意点もありますから、以下の点を把握したうえで申し込むようにしましょう。
返済負担率は年収によって異なる
フラット35の審査基準の一つが、「返済負担率」です。
この返済負担率は、年収400万円を境に変わることを覚えておきましょう。
具体的には、年収400万円以上の返済負担率は35%まで、400万円未満は30%までになっています。
ただ、収入の安定しない自営業の方は、25%以内に設定した方が、ゆとりある返済計画を立てやすいでしょう。
適合証明書を取得する必要がある
住宅の性能に関して、住宅金融支援機構が定める技術基準をクリアし、適合証明書を取得することも審査基準の一つになっています。
主な技術基準としては、断熱等性能等級2レベル以上などがありますが、現在新築で建てられるほとんどの家が適合しているので、問題はないでしょう。
ただし、適合証明書を取得するために、検査を受ける手間と費用が必要です。
融資率9割を超えると金利が高くなる
物件価格に対する借入額の割合のことを、「融資率」といいます。
仮に、物件価格が3,000万円、住宅ローンの借入額が2,700万円のとき、融資率は90%です。
この融資率が9割を超えると、金利が高くなることも覚えておきたいポイントの一つです。
実際に、2022年11月現在のフラット35の金利は、融資率9割以下だと年1.54%に対して、9割超の場合は年1.8%に設定されています。
わずか0.26%でも、トータルの返済額は数十万円から数百万円も違いますから注意しましょう。
まとめ
自営業の方でも住宅ローンを利用できますが、審査にマイナスとなる要素が多いため、あらかじめ対策を練ることが大切です。
「自己資金を増やす」「他のローン借入を減らす」など、できることから始め、ある程度の目途が立ってから住宅ローンを申し込みましょう。
また、自営業にやさしい金融機関や商品を選ぶことも、審査に通りやすくするための一手です。
一度審査に落ちた方でも、別の金融機関や商品で申し込めば、審査に通る可能性もありますから、あきらめずに自分に適した住宅ローンを探しましょう。
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