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用途地域とは?土地探しで知っておきたい種類と制限・特徴
家を建てる土地を探しているとき、不動産広告に「用途地域」という項目を目にしたことはありませんか?
それぞれの用途地域には、そこに建てられる家の種類や、建ぺい率・容積率といった建築制限も定められています。
用途地域を確認せずに土地を購入すると、こだわりを実現できないこともありますから、理想のマイホームを建てるには用途地域を正しく理解することも重要なポイントになるのです。
ここでは、用途地域の種類や各地域で建てられる建物の種類、用途地域の調べ方などの情報をまとめて紹介します。
そもそも用途地域とは?
用途地域とは、都市計画法にもとづいて計画的な市街地を形成するために、その地域に建てられる建物の種類などを制限したものです。
用途地域を見れば、「そこにどんな家が建てられるのか」「周辺にどんな施設があるのか」といった情報もわかり、その地域での暮らしがイメージしやすくなります。
都市計画で用途地域が定められているのは、「多くの人が住みやすい環境を守る」ことが目的です。
たとえば、みんなが自由に建物を建てられるとした場合、自宅の隣に高層マンションや工場が建つことも考えられます。
そうすると、日当たりや風通しが悪くなったり公害が発生して住みにくくなったりする可能性があるでしょう。このような地域には人が住みづらく、離れていってしまいます。
用途地域は、その地域に建てられる建物を制限することで、みんなが安心して暮らせる住環境を維持することを目的に、各自治体が定めているのです。
建ぺい率や容積率も用途地域ごとに決まっている
家づくりを検討するとき、建ぺい率や容積率といった建築制限を守る必要があります。
これらの制限も、用途地域ごとに決まっています。
たとえば、第一種低層住居専用地域の土地は、建ぺい率が30%・40%・50%・60%のいずれか、容積率は50%・60%・80%・100%・150%・200%のいずれかです。
また、第一種低層住居専用地域では建物の高さ制限を設けている地域もあり、三階建ての家が建てられない場合があります。
このように、「自分が建てたい家を、その地域で実現できるか」ということも、用途地域をみれば確認できるのです。
用途地域は13種類!それぞれどんなものなのか
用途地域は、全部で13の地域があります。これを大きく分けると、「住居系」「商業系」「工業系」の3タイプになります。
「住居系」は、文字通り住宅地が広がる地域で、大きな商業施設や工場は建てられません。
「商業系」は、駅前などで見られる商業施設の並ぶ地域ですが、住宅も建てられます。
「工業系」は工業地帯ですが、工業専用地域を除き住宅を建てることも可能です。
それぞれの用途地域に、どのような家が建てられるかを詳しくみていきましょう。
住居系用途地域
住居系の用途地域には、建物の高さや床面積などの違いで8種類に分けられます。
住宅系用途地域の種類と、それぞれの特徴をお伝えします。
第一種低層住居専用地域
戸建住宅などの低層住宅が広がる地域です。低層のアパートやマンション、小中学校なども建てられます。
一部の地域では、建物の高さが10mまたは12mなどに制限された土地もあるため、3階建ての家が建てられないケースもあります。
また、店舗も建てられますが、床面積が合計50m2以下であることが条件。
コンビニは建てられません。
第一種低層住居専用地域で家を建てる方は、コンビニなどの利便性よりも、静かな住環境を重視する人に適しているといえます。
第二種低層住居専用地域
第一種低層住居専用地域と同じく、低層住宅が広がる地域です。
ただ、店舗の床面積は150m2まで緩和されますから、コンビニは建てられます。
また、飲食店も可能です。
第二種低層住居専用地域は、閑静な住環境に加え、利便性を求めている人に適した地域といえます。
第一種中高層住居専用地域
建物の高さ制限がなく、3階建て以上の中高層住宅も建てられる地域です。
ただし、一定時間以上の日照時間を確保するための「日影規制」という建築制限があるため、設計時には注意が必要です。
この地域では、幼稚園や大学などの教育施設や病院、図書館なども建てられます。
スーパーなどの店舗も、2階建て以内で床面積500m2以下であれば、建てることが可能です。低層住居専用地域よりも利便性を求めたい方には、適した地域でしょう。
第二種中高層住居専用地域
第一種よりも緩和された、低層住宅が広がる地域です。
具体的には、2階建て以内で床面積が1,500m2以下の店舗も建てられます。
やや大きなスーパーも建築可能ですから、利便性を求める方に適しています。
また、事務所も店舗と同じ条件であれば建てることが可能です。
住居と事業用施設を併設した大きめの家を建てたい方にも、向いている地域です。
第一種住居地域
第二種中高層住居専用地域に加え、床面積3,000m2までの店舗や事務所も建てられる地域です。
条件を満たせば、ホテルも建てられます。
商業施設が点在しますから、利便性に長けた地域といえます。
夜も比較的、明るく、女性一人で出かける際にも安心感の高い地域といえるでしょう。
第二種住居地域
第一種住居地域より、さらに商業施設が充実している地域です。
住宅以外の建物は、床面積が10,000m2まで緩和。
ボウリング場、スケート場、パチンコ店、カラオケボックスなども建てられます。
近所に遊戯施設も多いことから、若いカップルや夫婦二人暮らしの方などに暮らしやすい地域です。
準住居地域
主に、国道や幹線道路などの広い道路沿いに設定され、自動車関連施設も建てられる地域です。
第二種住居地域で建築可能な施設に加え、車庫や倉庫も建てられます。
また、自動車修理工場も作業場の床面積が150m2以下であれば建築可能です。
車で移動することが多い方なら利便性の高い地域といえるでしょう。
このほか、客席部分の床面積が200m2未満の小さな劇場や映画館なども建てられます。
田園住居地域
農業と調和した住環境を守るために設定された地域です。
第一種低層住居専用地域とも似ていますが、中高層住居専用地域でなければ建てられない幼稚園や高校などの義務教育施設、また図書館や病院も建てられます。
2階建て以下で、一定の面積以下であれば、農産物の直売所や飲食店も建築可能です。
田畑の近くに家を建てられますから、農業を楽しみたい方にはピッタリの地域でしょう。
商業系用途地域
商業系の用途地域には、「近隣商業地域」と「商業地域」の2種類があります。
おおまかにいうと、駅前などの周辺が「商業地域」、さらにその周りに「近隣商業地域」が広がっているという用途地域のところが多くみられます。
もちろん、住宅の建築も可能です。
近隣商業地域
準住居地域より商業施設が充実し、利便性の高い地域です。
店舗や事務所、劇場、映画館などの施設には床面積の制限はありません。
自動車の往来も多い地域ですから、床面積300m2以下の自動車修理工場も建てられます。
さらに、環境への影響がない工場であれば、床面積150m2以下なら建築可能です。
閑静な地域ではありませんが、家にいる時間が少ない人や、近隣施設に勤めている人などに適した地域です。
商業地域
大きなターミナル駅前のような、商業施設が並ぶ地域です。
銀行や百貨店、風俗施設なども建てられます。
戸建住宅を建てられるような土地は少ないですが、利便性を重視される方なら探してみる価値はあるでしょう。
どちらかといえば、マンションで暮らしたい方に適した地域です。
工業系用途地域
工業系の用途地域には、「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」の3つがあります。
このうち「工業専用地域」には住宅が建てられません。
それぞれの地域の特徴を紹介します。
準工業地域
主に軽工業の工場が並ぶ地域で、環境への心配などがない工場なら建築可能です。
工場以外にも、ホテル、ボウリング場、映画館、病院なども建てられます。
また、小学校など教育施設も建っています。
工場に勤務される人や、家の近くに工場を建てたい経営者などに向いている地域です。
工業地域
すべての工場が建てられる地域です。
住宅も建てられますが、戸建てよりも高層マンションが並ぶ湾岸エリアというイメージに近いでしょう。
なお、ホテル、映画館、病院、教育施設などは建てられず、利便性が良いとはいえない地域です。
工業専用地域
工場しか建てられない地域です。
住宅は建てられません。
用途地域の調べ方
家を建てたいと考えている土地やエリアが、どの用途地域に区分されているかは、インターネットをはじめさまざまな方法で確認できます。
不動産会社などで土地を探している人であれば、不動産広告に記載されている用途地域を確認するのが確実です。
大まかな地域から土地探しを始めている方なら、自治体(都道府県または市区町村)の窓口でも調べられます。
地図上に用途地域ごとに色分けしており、家を建てたい土地の用途地域が一目でわかります。
最近は、インターネットでも公表している自治体も多いので、家を建てる自治体のホームページで検索してみましょう。
民間会社が運営するウェブサイトでも、用途地域が確認できる便利なツールがあります。
たとえば「用途地域マップ」というサービスは、検索性に優れている点が特徴のサービス。
町丁名まで選択して、用途地域を確認できます。
まとめ
用途地域は、建ぺい率や容積率といった建築制限にもかかわるものです。
地域によっては、実現できないこだわりが出てくるかもしれませんので、正しく理解しておくことが大切です。
また、用途地域を理解していれば、その土地に行かなくても「どんな暮らしができる地域なのか」をイメージしやすくなります。
土地探しを効率的に進める上でも、用途地域の基本的な内容を学んでおきましょう。
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